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事例①【事業再生編】 
簿外債務、滞納税金があった場合

お札と小銭

決算書だけ見ると利益も出ていて借入金の返済原資はあるように見えたのですが、よくよく調べてみると、社長の個人的な債務が数千万円あり、また、税金の滞納もありました。事業利益はその借入の返済原資になり、金融機関の借入金の返済が滞っている状況でした。

 こうした状況の中、3年間は金融機関の借入金の返済を減額し個人債務の返済、滞納税金の返済を優先していく経営改善計画を策定し、金融機関の同意を得て事業を進めていく事にしました。

その結果、個人債務は順調に返済でき、市民税の滞納も解消し今では順調に事業活動が行える兆しが見えてくるようになりました。

この事例が順調に進んでいる要素としては3つ考えられます。

社長自身、事業の取り組みに非常に長けていた。

今まで会社の主なメンバー、経理担当者ときちっと話し合いできておらず、資金繰りも社長1人でやり繰りしていたが、毎月1度業績検討会という名の会議で会社の主要メンバーとの意見交換をきっちり行えるようになったこと。

金融機関へ毎月業績報告を行い、金融機関にも事業内容を理解してもらえるようにした。

税務署、市役所にも必要に応じ資金繰りの状況の説明を行いに行った。

事例②【事業再生編】 
業界自体、市場が縮小し売上の拡大は見込めず、未納税金があり、借入金4億を抱えている事業者

一万円札

この会社は、人件費を圧縮する他、工場の人員も仕事がある時だけ時給で給与をお支払いする、と言った人件費の変動化を図る等の収益改善を図り、営業利益は計上できる体質に改善しました。

しかし、借入金が多く金利負担が重く、滞納税金を完済する方向で金融機関から金利減免を受ける他、固定資産税の負担も大きかったため、1年での分割払いにして資金繰りをやり繰りしている。

この事例においても、

経営者が誠実な人柄である。

毎月、金融機関へ業績報告を行い事業の状況を理解してもらえるように努めた。

市役所、税務署には必要な都度、足を運び資金繰りの説明を行った。

事例③【事業再生編】
M&Aで、過去の粉飾に対し税務上更正請求をして、粉飾して払っていた税金の還付を受けると同時に、M&A先への営業譲渡代金をもって返済猶予中の借入金の返済を完済

経理作業

経営改善計画を作成、利益率を改善し、何とか営業利益を確保しながら経営改善活動を行っていた事業者でしたが、取引先からの紹介で営業譲渡の話が持ち上がりました。営業譲渡の方法は、営業譲渡を受ける会社が新会社を設立し、その新会社へ営業譲渡すると言ったものでした。

 営業譲渡後の会社は営業譲渡代金で借入金を返済する基本スキームでしたが、社長が会社に貸付けている資金は債権放棄する方向性で話が進んでおりました。その際、営業譲渡後の会社は清算すると言うことでしたが、税金が係らない清算をするためには過去の粉飾決算について更正の請求をしなければなりませんでした。その結果、粉飾して払っていた税金の還付が受けられ、社長が債権放棄をする金額が圧縮できました。

 たまたまM&Aで会社が生まれ変わったと言えばそれまでですが、この事例で言えることは、

M&Aの話が出るまで、金融機関がプロパー融資(金融機関が保証協会の保証を付けない融資)して支援されたこと。これは社長の誠実な人柄、月次で業績報告をし、会社の状況を金融機関へ理解してもらうと言った地道な活動の積み重ねがあったからだと思います。

取引関係を維持していくためには已む得ず粉飾決算をしてしまっても、粉飾決算をしたまま放置するのはダメだということです。特にこの事例のように粉飾決算をして税金を払っている場合、更正することによりその後の納税額、時には還付が受けられる可能性があるので粉飾決算は放置すると経済的損失が大きいと言うことです。

金融機関、M&A先等、利害関係者に対しては誠実に対応する。

と言うことではないでしょうか・・・。

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